私は以前自転車販売修理チェーン店に勤めていました。毎日、自転車の販売と修理をしていました。

そのチェーン店では、自転車をたくさん売ることが目標になっており、質より量をさばいてなんぼという世界でした。

お客さんも安い自転車を購入する場合が多く、修理にお金をかけたくないというのが本音のようでした。

自転車がある程度年数が経ってきてタイヤ交換など修理が必要になっても、

「修理するより9980円の自転車を買うほうが早い。」と安価で精度の悪い自転車を買われる方が多かったです。

当然、そのような自転車はほとんどが処分されます。毎週のように沢山のまだまだ直せば乗れるはずの自転車が処分業者に引き取られていく風景を見るのが心苦しかったです。

 

話が少し変わりますが、まちなかで走っている自転車のうち7割くらいはまともに整備されていない状態で走っています。タイヤに空気がしっかり入っていなかったり、チェーンの油が切れていて緩んでいたり、駆動部分がガタガタだったり。そういう自転車はかなりのロスをしながら走っているので、乗っていてとっても疲れます。

大半の方はそういう状態が「普通」だと思っているので、まさか整備が必要であると思ってもいないみたいです。また、そういう疲れる自転車になれているので、本当に良く進む自転車の快適さを知りません。

自分の命を預けている自転車です。もっと自転車の悲鳴に耳を傾けて欲しいなと思っています。整備点検を頻繁にすることで、自転車の健康寿命を永らえることができ、新品のころの気持ちの良い状態がつづきます。

 

そのような思いから、もっと自転車のメンテナンスを身近に感じてもらおうと、2013年から私が始めた企画が自転車のお手入れワークショップです。

このワークショップでは、主に自転車の洗車とチェーンの空気入れなど日常的に誰でも気軽にできることに主眼を置いています。

洗車では台所にある掃除用品など身近なものを使って、参加者自身が自分の愛車をぴかぴかにしてもらいました。

参加者からは「ピカピカになって自分の自転車がいとおしくなった」、「洗車作業で自転車に向き合うのがとても楽しい。自転車の構造が作業を通じてわかった」という声をいただております。

 

 

自転車は実はコツさえつかめれば誰でも、分解修理できるものです。また、たくさんの技術や原理が組み合わさって出来ており、ものづくりの楽しさを学ぶのに絶好の教材です。

ぜひ、自分で触れるようになって欲しいです。自分で触れば、愛着もひとしおになります。はじめは、壊してしまうのではと心配になるかもしれません。でも、それでいいんです。

興味を持って自転車を分解しては組み立てなおしてみましょう。そのなかで、どんどん失敗していっぱい学んで欲しいです。わたしもそういうにいっぱい失敗を重ねて、たくさん学べました。

わからないところは遠慮なく聞いてください。いっしょに手を動かして考えていきましょう。

 

先述の9980円の自転車は強度と精度が足りず、私から言わせればぜんぜん進まない自転車です。

そのような自転車はきちんと整備してもメーカーものに比べるとあまり満足に進みません。

 

しっかりとしたメーカーもので整備の行き届いた自転車は、とてもスムーズに走ってくれます。
今後はどんな自転車が“いい自転車”でどんな自転車が“悪い自転車”か分かるような講座、買い方相談などの活動をしていきたいです。